私たちは、何をどう言うか?についてよく考えることがあります。例えば、SNSで発信するにはどうすれば良いかとかです。
しかし、今本当に大事なのは、相手が何を感じ、何を考えているのかを把握し行動に移せていることです。なぜなら、影響力がある人は行動が伴っているから言葉で周りを動かすことが出来るのでないでしょうか?
そのために必要なのが聞く力です。
著者のケイト・マーフィ氏は耳を傾けることは人生を豊かにする上であらゆる面で有益であると物語っています。ケイト・マーフィ氏自体もインタビュアーとして、数々の著名人に話を聞いており、それを仕事にしてきました。また本書に登場してくる人たちは、スパイや人質の解放交渉人、心理療法士などさまざまな職業で聞く力を活かしているエピソードがたくさんありました。
その中で耳を傾けるとは、
- 相手を正しく理解する
- 相手がなぜそれを私に言ったのかを知る
- 関心を持って、違いを受け入れること
としています。
- 共感して聞くことの重要性
- 聞くことで得られるメリット
- 相手の話を聞けるようになる方法
読んですぐに実践できる内容ばかりとなっています。
聞くことの重要性

1日8割がコミュニケーションに費やしている
テクノロジーの普及により、作業的な労働は減少しています。その中で仕事の8割がコミュニケーションに時間を使っています。仕事の目的、成約条件、上司や顧客が求めている期待を汲みとるためには聞く力が必要になります。
仕事のエラーの主原因は意見の食い違いによるものです。例をあげるなら
- 上司の意図を把握出来なかった。
- 自分よがりな仕事をしていた。
- 分からないことを聞かずにそのままやっていた
仕事で失敗しないためにも、聞く力はとても大事です。
書評 人の心を動かす傾聴のコツ 人間関係が良くなる3つの決まり
聞かないのは退屈でつまらない人生
人間は不確実なものを嫌う傾向にあります。例えば、知らない人に声をかけるよりも、知っている嫌な人に声をかけてしまいます。そんなことしないだろうと思うかもしれません。ただ、どのくらい嫌な思いをするかを見積もる事ができれば行動に移せるのです。
実験で通勤バスの中で、
- 一人で座る
- いつも通りの通勤をする
- 知らない人に声をかける
と3パターンで3番の知らない人に声をかけるのが仕事のモチベーションとパフォーマンスが良かったという結果が出ています。
知らない人に声をかけるという不確実なことで、人は面白いと感じているのです。
人の話を聞かないことは不確実なことを避け、つまらない退屈な人生を歩んでいるということです。
人の感情はデータを超える
データは数えているところにしか存在しないです。例えるなら、夜の一つの街灯で照らされた道のようなものです。
例えば、冬にコンビニに冷やし中華が売られているのは何故でしょうか?それは、前日に比べて気温が大きく上昇した時に暑いと感じるからです。
冬には、冷やし中華が売れるかどうかは試していないと分かりません。ただ、従業員や顧客の声に耳を傾け仮説を立てて検証することで、データが取れないところから成果を出せることもあるのです。
聞くことで得られるメリット

創造力が上がる2つの理由
- 共感力で消費者のことを考えられる
- 多くの人の意見をアイディアを取り入れる
共感力で消費者のことを考えられる
共感力が高い人は、商品を使う人がどういうことに困っているか、どうすれば使いやすくなるかを考えることが出来ます。また、ユーザーから商品のことについての考えを聞き出したことでヒット商品を生み出した事例もあります。
逆に、共感力の低い人の話を聞けない人は、ユーザーのことを考えていない誰からも求められていない自己満の商品を作ってしまうのです。
多くの人の意見をアイディアを取り入れる
自分の意見に固執しないで、多くの仲間の声に耳を傾けることで、よりいいアイディアを生む事ができます。Googleが組織の中で最も重要な要素を研究した結果出たのが心理的安全性です。
心理的安全性は、相手の意見を聞くことで、自分の意見を言う事が出来ます。反対意見に対してもいい意味での衝突があって、いいアイディアに洗練されていくのです。
大事なのは相手の意見をまずは聞く事が先です。
成長出来る3つの理由
- 反対意見を聞くことは脅威
- 自己理解が深まる
- 同じ声を聞いていると考えが偏る
反対意見を聞くことは脅威
自分の今までの生き方や考えを否定することは、とても怖い事です。人間の脳はこの時に扁桃体という部位が活性化します。不安やうつ傾向など苦痛を感じます。
ただ、今までの価値観に固執せずに人の意見を受け入れることで、どちらがより本質的かを考え成長する事が出来ます。

痛みを感じるのは脳の成長痛と言って良いかもしれませんね
自己理解が深まる
相手の話に耳を傾けたときに、反論したくなる時があると思います。その時に自分の思想を把握出来ます。
例えば、

みんなと同じように仕事してれば良いんじゃない?

いや、自分の能力を生かすことを大事にしたいな
相手と話を聞いた時に、自分が思った『内側の声』に耳を傾ける事で自己理解が深まるので、記録するのが良いです。
同じ声を聞いていると考えが偏る
同じコミュニティで、同じような思想に触れていると、バイアスにかかりやすくなります。自分の考えは間違っていないと、固執してしまいます。
こじれて年を重ねると老害ですね。
柔軟にいろんな人の意見を聞くことで、視野が広くなります。
[書評]突破力 メンタリストDaiGo 要約〜バイアス対処法
多くの友人ができる
自分に関心を持ってもらう2年間より、他の人に関心を持って過ごす2ヶ月の方が多くの友人を作ることができる
『人を動かす』デール・カーネギー
人は誰よりも自分のことが大好きです。修学旅行の集合写真で最初に見るのは好きだったあの子ではなく自分のはず。
そんな大好きな自分についての話を聞いてくれる人に安心感を抱きます。
例えば、子どもは親が自分の話を聞いてくれていると感じたら、家を安全基地だと思います。苦痛を感じても軽くしてくれる場所があると、安心し外に出て、未知の体験をしてもいいと思います。

子供が危なっかしいことをするのは安心している現れとも言えます。
近接・コミュニケーションバイアス
逆に、子供の話を聞かないのは、最悪なネグレクトとも言えます。自分には安心できる場所がないと思うと不安でしょうがなくなります。これは子供に限ったことではありません。
親しい人ほど、『あなたのことはもう知り尽くしている』という近接・コミュニケーションバイアスを持ってしまいます。相手に『あなたのことはもう興味ないよ』という信号を送ってしまっているのです。
人は近い人ほど誤解しやすいです。人は常に変わっていくことを忘れてしまうのです。例えば、昨日まではダイエットしてかっこいい体を手に入れると思っていたのに、今日はケーキを食べていることありますよね。親しい人ほど、好奇心を持って接することが難しいです。
どうすればいいかというと、相手の言葉を聞きじっくり考えることです。自分の心にその人を招き入れることは、相手は嬉しいことです。多くの人は聞いてくれることに罪悪感を持っています。

私の悩みやグチを聞いてもらうなんて悪い気がする・・・
新しい友人が欲しい人もまずは、身近な人の話に耳を傾けることが大事です。
聞けるようになるには

好奇心を持つ
人間は生まれながらの科学者です。どうして?なぜ?と疑問に思っていたことがたくさんあったはずです。しかし、歳を重ねることに、本当に分かっていない事を分かったふりをしているのです。
好奇心を持ちながら聞けるようになるには、『この会話から何を学べるか?』を記録する事です。会話する前には考えていなかった発想が聞くことで得られることが出来ます。そこから自分の考えと組み合わせれば、さらに自分を成長させてくれます。
他の人の経験や考えを喜んで耳を傾けることが出来れば、生きた知識を手に入れられますよね。

仕事は何をしているのか?という表面的な質問よりも、どうしてそう思うのか?など人の内面にフォーカスすると好奇心を持って接することが出来ます。
相手と信頼関係を築きたいことを自覚する
- 相手の立場になって考える
- マインドフルに話を聞く
- 我慢が必要
- ずらさずに受け止める
相手の立場になって考える
相手はなぜこの話を私にしてくれたのだろうと、自問自答してみましょう。人の気持ちになるのは難しいことです。だから、分からなかったら相手にあなたのことを理解したいので、教えてもらってもよろしいでしょうか?と聞いてみるのがいいです。
もし、相手と問題を抱えてしまったら、相手の意見を聞くしかないのです。なぜなら自分の意見を聞いてくれない人の意見は受け入れられませんよね。
相手も同じ人間。自分の行動や言動が他者にどのような影響を与えるのかを理解するようにしましょう。

大半と人たちは、自分の心配事を話すことを怖がります。理由は冷遇されるのを嫌がるためです。そんなことを言ってくれているのはあなたを信頼しているからです。
マインドフルに話を聞く
- 次に何を言おうかと考えている
- 自分の考えが頭にある
- スマホで注意を持ってかれている
- 自分のことを知って欲しい
- 自分のことを認めてほしい
相手を理解するには、瞑想のように話を聞くことです。相手の表情や声のトーンまで観察します。話の内容は頭の中で映像になるように聞きます。映像に出来ないのは情報が足りないからです。なので、相手に質問しましょう。

これだけ熱心に自分の話を聞いてくれる人がいたら悪い気はしないですよね。
我慢が必要
嫌な人と会話しなければならない時はありますよね。そういう人の話を聞くことが出来れば、不快感を減らせます。
例えば、

仕事なんだから何でもやらなければダメだろ!

どうしてそう思われるのですか?

俺はそうやって今まで働いてきたからだ!!
相手の意見を真似しようとは思わないけど、理解は少しは出来たと思います。
また、自分と反対の意見を聞くのは脅威を感じます。理由は今までの生き方や自分の考えを否定しなければならないと思うからです。
反対意見を聞けるようになるにはどうすれば良いか?
自己否定は成長を促す
→自分が間違っているかもしれない可能性を受け入れる。
→その証拠を探しながら話を聞く。
→不快感や不安を乗り越えると成長する。
相手は正しさを示すことが出来たので、あなたのことを信頼します。そうすると、自分の意見も聞いてもらえることも多くなりますよね。
ずらさずに受け止める
自分の意見と違うことを受け止めるのは、不安もあるし、シンドイと感じることもあると思います。
ただ、相手は受け止めてもらえないと安心感を得られません。
例えば、

今日上司に怒られちゃったんだよ。俺が悪いんだけど、あの言い方はないと思わない?

君が怒られるようなことを言ってしまったのだからしょうがないんじゃない?
正面から受け止めると

今日上司に怒られちゃったんだよ。俺が悪いんだけど、あの言い方はないと思わない?

悪いことしたという自覚はあるけど、怒鳴りつけられたことはすごい嫌だったんですね。

そうなんだよ〜。大きな声出されると、話が頭に入ってこないんだよね。
相手の愚痴に同意する必要はありません。相手の感情を理解することで相手と信頼関係を築くことが出来ます。

人間関係でうまくいくにはポジティブとネガティブな反応を5:1にするのが大事です。
自分の弱さを認め、それでも価値があると知る
話を聞けない人は、自分から弱いところを知らないからです。
例えば、自分が自己中と思っているとします。

あなたは自分のことしか考えていないのね

確かにそういうところがあるね。君がどうしてそう思ったのか教えてくれるかい?
もし、自分のダメなところを認められなかったら、相手に攻撃されたと感じケンカになります。
【書評】はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック・まとめ・要約
[紹介]もうイライラしない!怒らない脳を要約してみた 怒らなくなる方法
人間誰しも長所と短所がそれぞれあり、それでいて全ての人が価値のある存在であるのです。自分の弱さを受け入れることはとてもキツいことです。じゃあどうすれば良いかというと、セルフコンパッションというテクニックを使います。
セルフコンパッションとは、自分に思いやりを持ち優しい言葉をかけます。『自分のことを大事にするところがあって、周りを見れなくなる時がある。ただ、周りを見ようと自分を省みている。自分を大事にすることは悪いことじゃない。自分が満たされた心でないと相手に優しく出来ないのだから』
決して、悪いところから目を背けるのではなく、いいところも悪いところもあって自分ということです。
要約・まとめ

- 充実した人生を送るには相手の話に耳を傾けよう
- 好奇心を持って聞く
- 自己否定しながら聞くことで成長できる
自分がどういう人間かを認めてほしい。知って欲しいと思っているから相手の話を聞くことが出来ません。相手も同じことを思っています。まずは自分から相手の話に耳を傾けることで信頼関係を築けるようになるのです。
著者ケイト・マーフィ 『知性豊かで創造力がある人になれるLISTEN』気になる方は手に取ってみるのはいかがでしょうか?
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